高市総理の農業問題への取り組みに対する批判

高市総理の農業問題への取り組みに対する批判
先日、高市政権が発足しました。それに伴い現在開かれている臨時国会で総理就任後初めての所信表明演説が行われました。

高市総理については初の女性総理、積極的な財政政策を取って経済復興を第一に唱えていることからかなり高い支持率を持ってスタートしました。

その高市総理の所信表明演説の内容について、全体的には評価しています。まず今までの総理の所信表明演説は如何にも官僚が作文したものを読んでいるようなものでしたが、高市総理のものはおそらくご自身で作文して発表している(自民党総裁選への出馬表明の原稿とほぼ同じ)と思うので、その点は評価します。

しかし、新米農家の立場から、農業に言及した部分を抜き出すと全く評価できません。以下に農業について言及した部分を書き抜きます。

「農林水産業を支援するメニューを設け、地域の実情に合った的確な支援を速やかにお届け致します。」

この部分は所信表明なので具体策については不明ですが、農業以外の政策についてはもう少し具体性があったので、この部分はこれからメニューを考えるのか。。。

ただ、先日も地元の土地改良区の役員会に出席しましたが、そこで以前より問題になっているのは既に米作りを辞めているにも関わらず、田んぼを所有しているというだけで、面積に応じて用水の賦課金を払う義務(土地改良法により定められている···)を負ったり、用水路の整備のための作業に駆り出されたりと大きな負担を負わなければならないということでした。本来なら現役耕作者がそれらを負担するのが筋ですが、就労人口が高齢化により減っている現状ではそれにも無理が生じます。一言でいえば人手不足と言うことです。戸別所得補償や新規就農支援への補助金増などと言えば評価の余地もあったのですが、ここに対するメニューはおそらくないんだろうなぁ。

「稼げる農林水産業の創出を通じて農村漁村、中山間地域を始め、地方に活力を取り戻します。」

この発言も抽象的で、おそらく今までの総理も言ってたようなありきたりの表現ですね。

「地域を活性化させ、食料安全保障を確保する観点から農林水産業の振興が重要です。農業については5年間の農業構造転換集中対策期間において別枠予算を確保致します。世界トップレベルの植物工場、陸上養殖、衛星情報、AI解析、生産などの先端技術も活用し、輸出を促進し、稼げる農林水産業を作り出します。」

この部分は前の2つに比べたら具体性はあって夢もあり一見良さそうですが、正に新米農家からすると「そこじゃないんだよなぁ」と言わずにはいられません。昨今の稲作農家の平均年齢が高齢化して、あと5年10年もすれば日本人の主食である米の作り手がいなくなるという危機的状況に瀕しているにも関わらず、輸出を促進って日本の米と食料自給率は大丈夫かと疑ってしまいます。しかもこの発言どおりに政策が進められると得をするのは、最新式の機能を搭載した農業機械を作る大企業。一般の中小零細規模の農家にとっては恩恵があるのかないのか分かりません。ただ負担が増えるだけで、ただでさえ設備投資にお金がかかるのにさらに負担が増えていくかも知れません。

以上の点において、所信表明演説を聞く限り、高市政権の農業政策には疑問がいっぱいで、評価することはできません。これからの政策実行を注視していかなければなりませんね。