農地管理(私が考える農業問題解決への提言③)

農地管理(私が考える農業問題解決への提言③)
農地には農地法という法律があって、原則的に農地が利用できるのは農家に限るとなっています。
しかし何を以って農家というのか、今はその定義が曖昧になっているように思えます。

私が農業を始めた3年前に初めて農地法のことを知り、
当時は千葉県の殆どの自治体で、新規就農には50アールの農地を所有もしくは貸借しなければならないとありましたが、
今ではそれも改正されて、その条件もなくなりました。
農地法を完全に理解しているわけではないので、もしかしたら間違っていることを言っているかもしれませんが、
農業でいくら以上の所得があれば農家を名乗っていいように思います。

とにかく農業をやるには当然ながら農地が必要です。
しかしその農地がどんどん廃れていっています。
遊休地で管理がされていればいいのですが、
耕作放棄地になり草を生やし放題にしているところがどんどん増えているのが現状です。

戦後の農地解放により農地の所有者が大地主から小作人に移っていき、農地が細分化され、
1ヘクタール以下を耕作する農家が多くを占めるようになりました。
当時は農業就労者も多くいたのでそれでも良かったのでしょう。
しかし今ではその影響が悪い方向で出ています。
現在は農業就労者数も激減し、農地の集約化が叫ばれて久しくなりましたが、
それが遅々として進まないのは、農地の権利関係が細かくなりすぎているからに他なりません。

例えば、農家に生まれた子供が農業は儲からない上に、きつい仕事だと言って後を継がず勤め人になる。
しかし農地は親から相続して所有権は移ったはいいけど、農地管理はせず、ほったらかしにしてしまう。
農家に生まれたけど農家は辞めて、でも農地は所有しているという農地法の考え方に照らせば矛盾した状態になる。
挙句の果ては、再エネ事業者に貸し出して太陽光パネルを敷き詰めて農地をつぶして賃料を取る。
数年前、農業を始めようと思って農地を探している時にこの農地法と現状の矛盾に何かおかしいと感じていました。

今になって思えば、結局は今までの農業政策が間違っていたということなのですが、
ここでそれを批判しても始まりません。なので私なりの解決方法を考えてみました。

農家の子供が農業をやらず、農地を相続することになった場合、
農地だけを国または地方自治体に安く買い上げてもらうか譲渡して相続財産から外す。
そしてその農地を国または地方自治体で管理する。
維持管理で草刈りなどが必要になれば職員が作業したり業者に依頼したり、
もしくはシルバー人材や元地主に有償で依頼したりして、とにかく農地を荒らさないようにしておく。
そうやって行政が管理する農地が増えていけば、農地を集約する際、煩わしい権利関係から解放されているので
集約化もしやすくなるのではないでしょうか。

しかしそれは何十年と時間がかかると思います。
フランスなどの欧州の農業大国と言われるところは今でこそ1農家あたりの耕作面積が広くなっていますが、
それも50年ほどかけて農地の集約化を行ってきたからだと聞いたことがあります。
共産主義の国なら国の権限ですぐに何とでもできそうですが、
日本は私有財産を認めていて自由経済の仕組みで回っているのでそう簡単ではありません。
だからこそ、農業従事者が減っている今では、
行政が大きく関与していくしか農地を維持管理できなくなっているのではと思います。

以前に述べた土地改良区のことと同様に、
農業予算を増やしてと言ってもまずは1兆円(国の一般予算の1%弱)もあれば十分だと思います。
そこから始めて、
農地解放の逆回転でかつての大地主の立場を今度は行政が担って、
速やかに農業を発展させる方向で動いていって欲しいと思います。